最高裁判所第一小法廷 昭和42(オ)1000 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人藤本亮一の上告理由第一、第二点について。
原審の適法に認定したところによれば、本件為替手形のうち(一)ないし(四)の四
通は上告人と被上告人との間における洋服地等取引上の売掛残代金債務五二五、〇
八九円のうちの一部の支払方法として上告人が引き受けたものであるが、その後に
なつて、被上告人の代理人Dと上告人との間で、右売掛残代金債務は昭和四〇年六
月三〇日以降同四一年三月三〇日まで毎月三〇日(但し、二月は二八日)金五万円
あて(但し、昭和四〇年一一月三〇日には六〇、〇〇〇円、同年一二月三〇日には
六五、〇八九円)分割して支払う旨の約定が成立し、その支払方法として各その分
割金を額面金額とする為替手形一〇通が新たに上告人により引き受けられたところ、
その引受に際し上告人は前記(一)ないし(四)の四通の手形の返還を求めた形跡はな
く、右手形はそのまま被上告人の手中におかれたというのである。かかる事実関係
に徴すれば、右四通の手形は当事者の合意に基づき依然として前記売掛残代金支払
確保のために被上告人の手中に留保されたものと認めるのが相当であつて、上告人
主張のような上告人に返還されるべき手残り手形ではないとした原審の判断は、正
当として是認することができる。そして、前記分割金の支払方法として上告人の引
き受けた一〇通の新手形がついに一回も支払われずに終つたことは原審の確定する
ところであるから、被上告人の右(一)ないし(四)の四通の旧手形による手形金の請
求を認容した原判決は正当であつて、原判決になんら所論の違法はない。論旨は、
要するに、原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、または、
原審の認定にそわない事実を主張して原判決の違法をいうものにほかならず、採用
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することができない。
同第三、第四点について。
原判決に所論の違法はなく、論旨は、独自の見解に立つて原判決を非難するもの
にすぎず、採用するに足りない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 大 隅 健 一 郎
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 長 部 謹 吾
裁判官 松 田 二 郎
裁判官 岩 田 誠
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